・09月12日(水) 都市鉱山の発掘

 都市鉱山という言葉が騒がれ始めてしばらくたちますが、ネット上では都市鉱山発掘についての有用な情報がほとんどありません。

 そこで、都市鉱山の発掘のやり方を紹介します。


 まずその前に、都市鉱山とは何なのか?について簡単に説明を。

 都市鉱山とは、パソコン、モバイル機器、家電製品などの身近な電気製品に沢山のレアメタルが含まれていますよってことです。
 普通、鉱山と言えば山に穴を掘ってそこから貴金属を見つけて精製、精錬しますが、都市にはたくさんの電気製品があり、そこに貴金属がありますよ。ってこと。
 2020年の東京オリンピックのメダルも都市鉱山から精錬した貴金属で作ろうなんて話もありますね。


 さて、この都市鉱山の発掘をDIYで作り出してみましょう。


 今回は人々を魅了し続けた「純金」を都市鉱山から発掘してみます。


 ほぼ全ての道具、材料は簡単に手に入ります。

 一応、
 <<注意事項>>
 ・最後まで自己責任で
 ・子供は大人になるまで待つか、親と一緒にやりましょう。
 ・薬品を使うので目や手の保護をしましょう。
 ・途中臭いので換気の良いところでやりましょう。
 ・教科書には書いてない理科の知能(×知識)を身につけましょう。
 ・廃液の処理は適切に。
 ・儲かりません。採算合いません。



 <<必要な道具・材料>>
 ガラス瓶(はちみつの空き瓶とか少し大きめサイズ)
 割り箸
 サンポール(銘柄は何でもいい。塩酸9.5%位)
 オキシドール(過酸化水素水2.5~3.5w/v%位)
 皿チョコ(チョコ皿。東急ハンズとか)
 ガストーチ(ホームセンターで売ってるMAX1700度位の)
 シリンジ(ダイソーの化粧品コーナー)
 ほう砂(ホームセンターの半田用フラックスでも可)
 素材:パソコンのメモリ、拡張ボードの差し込み部分など金メッキしてあるもの。

 必要なものは以上です。全部身近にありますね。





 ここからは発掘方法、作り方、やり方、作業方法の説明です。

 まず、パソコンのメモリ、拡張ボードなどの金メッキされた部分をベンチなどでつかんで折り、回収します。
 1枚、2枚程度では米粒どころか、塩粒にもなりません。
 友人、知人、親戚などにいらなくなった素材をもらい、たくさん集めましょう!

 集まった素材がこちら↓
 都市鉱山の素材


 この金色の部分には銅などをベースとして金メッキが施されており、この金メッキ部分を回収します。


 ある程度素材がたまってきたら金メッキをはがす作業に取り掛かります。

 空き瓶に素材を入れ、ギリギリ浸かるくらいまでサンポール(塩酸)を入れます。

 学校で教科書を暗記した人は、あれ?塩酸で銅は溶かせないんじゃないの?って思うかもしれませんが心配ありません。

 ちなみに、「金」だって王水以外に溶けますよ。教科書には書いてありませんけど。

 話がそれましたが、反応を促進させるためにオキシドールを入れます。少しでいいです。


 素材(金メッキ)、塩酸(サンポール)、過酸化水素水(オキシドール)が入ったら割り箸でよくかき混ぜましょう。

 都市鉱山の発掘方法(やり方)


 この時、液が目に入ったり、手についたりしないように気を付けてください。

 ここから2~7日間位(気温や素材によって異なる)は1日数回かき混ぜながらメッキがはがれるのを待ちましょう。

 液が薄い緑→緑→濃い青と変わっていきます。

 都市鉱山の発掘方法(やり方)

 写真の状態からもっともっと濃くなっていきます。(溶けるものが残っていれば。)

 さて、終わりの見極めは金メッキ部分がほとんど剥がれたかどうかです。溶液がどす黒くなっても剥がれていないものが多ければ塩酸が足りないかもしれません。
 塩酸と過酸化水素水を足しましょう。

 だんだんと底にメッキのヒラヒラが溜まっていきます。
 都市鉱山の発掘方法(剥がれたところ)


 塩酸の量が少ない場合、途中で底に白いカスが溜まることがあります。
 これは一度は溶けたものの、塩酸濃度の低下に伴ってイオン化傾向の大きなものがそこに析出してしまったものです。
 これが残っていると不純な金になってしまうので注意が必要です。


 メッキが剥がれ、カスも無くなったら溶解が完了です。

 メッキが剥がれた素材を割り箸などで除去しましょう。

 残ったヒラヒラが今回のターゲットです。

 金は重いのでしばらく放置すれば底に沈みます。

 上澄みをシリンジで吸って除去します。

 このままではまだ塩酸や銅などの溶液が濃いので、水で薄めては上澄みを吸って除去を数回繰り返します。

 そうすると水の中に金のヒラヒラだけが残ります。

 これだけでも立派な金ですが、どうせなら熔かして一つにしたいですね。

 金のヒラヒラをほう砂でコーティングしたチョコ皿に乗せます。
 都市鉱山のやり方


 ヒラヒラは軽く濡れているくらいが扱いやすいです。

 ヒラヒラの上にもほう砂を乗せ、ガストーチで最初はゆっくりと過熱します。

 ほう砂が解け、金が発光してきたら一気に過熱しましょう。
 都市鉱山のやり方(焼成)


 過熱を続けると金が真ん丸になり、踊りだします。

 都市鉱山の取り出し方(純金)




 これにて都市鉱山の発掘方法、取り出し方の説明は終わりです。

 都市鉱山の取り出し方(測定)




 今までに4回ほど都市鉱山の発掘(金の取り出し)をやってきましたが、いくつかの失敗もありました。
 <<今までの失敗談>>
 ・初めての時は多く集めたくて色んな基盤を集め、余計な金属が多すぎたために不純な金となった。
 ・底に析出した不純物を再溶解しなかったために不純な金となった。
 ・換気の悪いところで作業したので気分が悪くなった。
 ・ガストーチの風力でヒラヒラを吹き飛ばした。
 ・溶解して得られた金(この時は不純な金)をハンマーで叩いて鍛錬していたら向きが悪くて飛んで行って無くなった。
 ・不純なものを無くす一心で溶解しすぎ、金も溶かしてしまった。(金コロイド?)。王水にしか解けないは間違い。


 少しでも子供たちの理科離れ、機械離れがなくなればいいですね。









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